田中さんの体験談④

西成という街には、そんなギリギリの生活をしている労働者の金を狙う輩があちこちにいるという。彼らは、さまざまな商売でしのいでいるのだが、その1つとして
日雇い労働者への金貸しがあるそうだ。

「僕の場合は賭け事で仲間に借りをつくってしまい、どうしてもまとまった金が必要になった。困っていたら、ドヤのおやじが『日雇い手帳で金を借りることが出来る』と
言う感じで紹介してきた。それは、いわゆる手帳貸しというものだった。

その手帳貸しのところへ行って『金を借りたい』と話すと、まず日雇い手帳を渡せといわれた。日雇い手帳は給付金をもらうために必要だ。だから、これを借金のカタに
することはできない。ところが、職安に給付金をもらいに行くときは引き出せるというんだ。

 ただし、その手数料として借金1万円につき300円かかる。しかも、月に1回払えばいいのではなく、引き出すたびにとられる。要するに、これが利息にあたる。

 さらにポラロイドカメラで顔写真を撮られた。しかも撮影代として1000円もとられた。

最初はせいぜい3万~5万円ぐらいしか貸してくれない。何度か借りて実績を作ると10万円まで貸してくれるようになる」

 この手帳貸しというのは、給付金を担保に金の貸付を行っているようなものだ。