田中さんの体験談③

「30分5千円を払って、弁護士のところに助けを求めた。でも、その人はひととおり僕が話すのを聞いたら、まず着手金を出せっていうんだ。確かに10万か20万とかって
いう金額だったと思う。もう僕には借りられるところがないから、そんなお金は用意できないよ。弁護士はあきらめた。
 家に帰ってから妻と相談して離婚することにした。そして、僕はすべてを捨てて大阪の西成に行くことにした。西成なら身分証とか履歴書とか住民票がなくても雇ってくれる、
逃げてきた人間でも生活ができると、誰かに教わったんだ」
 借金から逃れるために西成に流れ着いた田中さんは日雇い仕事などをしながら生きていく。
「あそこにはいろいろと制度があってね、日雇い手帳(雇用保険被保険者手帳)を持って職安に行けば、月の半分程度は給付金(日雇労働求職者給付金)がもらえるんだよ。
4,100円~7,500円ぐらいかな。
 ただし、まったく仕事をしていないと、印紙を貼ってもらえず、給付金がもらえないいだ。
この印紙というのは仕事をすると雇い主が日雇い手帳に貼ってくれるもんで、最低でも2か月で26日ぶんがないとダメ。
 だから、給付金だけをあてにすることはできない。僕みたいな人間もちゃんと働くようにシステムができてる。といっても、そんなに無理のないペースでできる。
たいていは給付金の支給条件を満たす日数分だけ働いたら、仕事を休んで給付金をもらって暮らす。
 でも、仕事がないときもあるし、体調を崩して仕事ができないときもあって、手帳の印紙がたりなくなることもある。すると、仕事の稼ぎもない、給付金も出ない、
という状況に陥る。だから、カラダだけは壊さないようにしないといけない」